真夏の夜の夢


ある夏の夜
俺は帰り道を急いでいた。
汗をかき疲れた体を早く風呂でさっぱりさせたかった。
家賃が安いという理由で借りた部屋は
駅から遠く、街灯もほとんどない町のハズレにあった。
特に暗くて心細い通りに差し掛かった。
何かここは男の俺でさえ何かにせかされるような不安を感じる場所だ。
ふと前を見ると、道の真ん中にぼんやりと白っぽくおぼろげな影が見える。
えーっ、勘弁してくれよ。俺は心の中でつぶやいた。
ただ一つ、いつもはそこにない街灯に照らされて女が立っていた。
白いドレスを着てスカートを前で手で押さえているその姿はどこかで見覚えがある。
そうだマリリン・モンローだ。
しかしなぜこんなところにマリリンが?。
そいつがこちらに向き直るとウインクを始めた。
長い独身のせいでついに頭が変になってしまったのか……。
絶叫しながら俺はその場を走り去った。
次の日は加護亜依がいた。
一週間そんな状況に悩まされた俺は医者に相談した。
すぐに入院が認められ、今は病室の窓から夜空を見上げている。
その夜空の向こうはるか上空。
そこに一機の見慣れぬ型の宇宙船が浮かんでいる。
頭が肥大化し体の華奢な安っぽいSF映画に出てくる宇宙人のような連中が
なにやら難しい顔をして相談している。
「地球の男性を可能な限り平和的に採取しようと思ったのだが……
なかなかうまくいかないなぁ。」
「そうですねぇ。餌がわるいのでしょうか?。」
「うむ、その可能性はあるな。今度は安達祐実にしてみよう。」