ハナクソ


最近、ハナクソがたまって困る。
空気が悪いのか
風でもひいたのか。
いい歳してみっともない。
それで遠い昔のことを思い出した。
幼稚園のころ
俺は問題児だった。
物は壊す規則は守らない
授業は聞いてない
お遊戯はいつも違うことをしている。
年中先生にしかられていた。
女の先生だった。
今思うと22、3歳という感じだったろうか?
記憶ではエキゾチックな顔立ちの美人だったような気がする。
冬だったと思う。
この後に起こったことが印象に強すぎて
何でしかられたのかは覚えていない。
何かいたずらをしていたのだろう
すごい剣幕で先生が俺の名を呼びながら
こっちへ近づいてくる。
そのとき、何故か俺はハナクソを丸めていた。
あれってでかくなるとなんか嬉しくてどんどんでかくしちゃうんだよな。
とっさにこれをどこかに隠さなければならないと思い
そいつを思わず口に入れちまった。
先生はかがみこんで俺の両手をしっかと押さえつけ
説教を始めた。
その説教が長い長い。
だんだんと口の中に隠したものが解けてきて
塩っけがお口の中に広がってくる。
早く説教終わらねぇかなぁ、などと俺は上の空。
先生の剣幕からしてまだまだ説教は続きそうだ。
困った。このままでは全部解けて口の中かが大変なことになる。
そこで俺は思いついた。
そっと、上に向かって吹き出せば
先生の頭上を越えて飛んでいくに違いない。
おお!スゴイ名案だ。俺って天才だ!!。
慎重に唇の形を整えて先生上空に狙いを定めた。
よし!いまだ。発射。
そのとき先生がぐいとつかんでいた俺の手を引いた。
「ねぇ!tip君。ちゃんと聞いてるの!!」
俺の体は前にのめりハナクソ弾は俺の上唇にぶつかって
またそのクッションが絶妙で
先生の右のほっぺのど真ん中にペタっと張り付いた。
まるで大きなほくろができたようだ。
先生は体をわなわなと震わせている。
俺は笑いをこらえようと体を震わせている。
その後どうなったのか記憶にない。