夢を見たの…

初めて予知夢らしきものを見たのは
幼稚園に通っていたときだった。
お絵描き大会みたいなのがあって
園児全員が各々、思い思いの絵を画用紙に描いて
次の日に先生方が審査して、いい絵の順に廊下に貼り出される。
その日の夜は明日の張り出される順番が気になって
なかなか寝付かれない。
しかしそこは子供。そのうちに眠ってしまった。
気がつくと、明け方の園舎の廊下に自分が立っていて、
夜明けの光が斜めに窓から差している。
自分の絵は真ん中へんにはってあった。
当時仲の良かった友達は、お絵かきのときも並んで描いていた、
自分のより上に貼ってあってちょっと悔しかった。
壁一面に貼り出された絵が、きらきらと朝日に映えて綺麗だった。
そこで、目が覚めた。
幼稚園に行くと、夢で見たとおりに絵が貼り出されていた。
それ以来、時々変な夢を見る。



自分は、見知らぬ住宅地のアスファルトの歩道を歩いている。
すると、突然、激しく地面が揺れ立っていられなくなる。
アスファルトが割れて、周りの建物はガラガラと崩れて
自分に覆いかぶさってくる。
自分のうめき声に目が覚めた。
汗をびっしょりとかいている。
その5年後、事情があってこっちへ越してきた。
いろいろあって選択の余地はあまりなかった。
越してきたとき、どこかで見た風景だなと思った。
しかし、そのときは気づかなかった。
そして、震災。
そのとき夢で見た風景だと気づいた。



震災から数日後、自分の家が倒壊の危険なしのお墨付きをもらって
避難所から帰った夜。
まだ、水も電気も復旧していなかったが、やはり我が家、
久しぶりにゆっくりと眠ることができた。
自分はワイドテレビを横になりながら見ている
そこには貿易センタービルが映っている。
突然、ビルが2本の火柱になる。
何事が起こったのかと思うまもなく
演壇で兵士たちが敬礼している。
国旗が掲げられ、そこにはなにやら寄せ書きが見える。
そして見上げると、何か頭巾をかぶった男が二人自分を見ている。
そして、爆撃に講堂の天井が揺れ、自分は逃げようとするが
天井がガラガラと落ちてくる…。
またも、寝汗とともに自分の悲鳴で目が覚めた。



震災で壊れたテレビをワイド画面のテレビに買い替え
そんな夢のことは忘れていた。
あの日までは…。



なぜか自分は線路の脇に立っている。
列車の車両が横転している。
真っ白な防護服みたいなものを着た人たちが
これも真っ白な担架でその車両から人を運び出している。
次から次へと運び出されてくる。
白いシーツから垣間見える人たちは真っ黒、というより真っ暗で
はっきりと見えない。
死体だと直感して、目をそむけようとするが
身動きできない。
また、自分の悲鳴で目が覚める。
そして次の日、ニュースを見て愕然とした。



こんなことを書くのは不謹慎である。
一生自分の胸にしまっておくつもりだった。
しかし、こういうのは結構つらい。
個人的な予知夢ならたくさんあるが、
そんなことは誰にもわからないので省略したのだが
もし、自分の死を夢に見てしまったらどうしようという恐怖は
ずっとあった。



雨が降っている山道を大勢の人が歩いている。
その中に自分もいる。
不思議なことに誰も傘もささず、雨具もなく普通の服で歩いている。
森や林の中ではなく見晴らしのいい結構幅のある山道
砂地のような地面で、石ころも多い。
茶屋のような店が脇にちらほらと見える。
道の中ほどに大きな水溜りがあって、
真っ黒なワンピースの小さな女の子が
しゃがみこんで、その水溜りに手を入れて遊んでいる。
無心に遊ぶその横顔を見ようとするが、形かはっきりせず
顔立ちや表情を確認できない。
自分は、どんどん道を登っていく。
行く先々にその女の子は現れる
この子、ちょっと変だぞ?
と気づいて怖くなる
ふと見るとその子がじっとこっちを見て立っている。
自分のうめき声で目が覚めた。



どう考えればいいのだろう?
ただの疲れたときに見る変な夢であって欲しい。
こんなこともあって
不謹慎を承知で
一度書いておきたかった。