悪魔の密室

ニュースを見て驚いた。
このようなエレベータの誤作動など
聞いたことがない。
自分の知る限りでは
日立、三菱、東芝、日本オーチス
この会社の名前は知らなかった。
B級映画好きとしては
『悪魔の密室』というホラー映画を思い出してしまう。
悪霊の取り付いたエレベーターが乗客を殺していくという
実もフタないB級なアイデア
と思っていた。
別に不謹慎な気持ちでこんなことを書いているのではなく
この会社のエレベータがシェア世界2位で
しかもヨーロッパのメーカーで
アメリカでは100件もの訴訟を抱え…
ということを今回知ってはたと気づいた。
この映画は日本では馬鹿なアイデア一本で押し通した駄作という評価が一般的だろう。
自分もそう思っていた。
しかし、海外ではこの映画、結構評価が高く、ナオミ・ワッツを主演に迎えて『ダウン』として近年リメイクまでされている。
この部分に何か自分の見落としている何かがあるのではないかと
ずっと、違和感を感じていた。
『悪魔の密室』はオランダ映画で『ダウン』はアメリカ映画だ。
実は、海外ではこういう恐怖は身近で
この映画はわれわれ日本人が思う以上に
まじめに受け取られているのではないかと思った。
日本人にとっては接点がなさ過ぎてエレベータと恐怖がリンクせず失笑してしまうところを実はアメリカ、ヨーロッパでは身に迫った恐怖として感じているのかもしれない。
だとするとこの会社の罪は深い。
こういう情緒を社会的に醸成するほどのことがありながら
生き延びてきたということは
どういうことなのだろう。
自分の考えていることが当たらずとも遠からずであれば
恐ろしいことだ。