他人の不幸は蜜の味


人間は他人の不幸が大好きな生物だ。
自分はそうじゃないと思っているあなたも例外ではないはずだ。
ためしてみるかい?
実は俺はいま小説を書いているんだ。
ざっとこんな話だ。
これはある男の物語だ。
あるところに可愛い男の子が生まれる。
母親は女優、父親は有名ミュージシャンで、大金持ち。
赤ちゃんはすくすくと育ち、幼稚園から一貫教育の名門私立に入学する。
その子は成績も良く、試験勉強なんかしなくても一回教科書を眺めただけですべて理解してしまう。
もちろん両親に似て容姿に優れ、中学高校ではモテモテ。
音楽の才能にも恵まれ、親の七光りもあってデビュー。
作る曲すべてが大ヒット。
しかしそんな彼にも人生の一大事が起きる。
アイドルとの結婚であった。
結構生活は夫婦仲も良く、優秀な子供にも恵まれ
その子は親を愛し尊敬し、
夫婦で稼いで大金持ち。
しかし、そんな彼をついに不幸が襲う。
両親の死である。
その死は寿命といっていい大往生であった。
彼は遺産を相続し更に大金持ちに。
しかし彼にも死は訪れる。
彼を慕う子供たちや孫、そして美しい妻に見取られ大往生を遂げる。
どうだ面白いだろう?
文章がへたクソだからとかそういうのはなしだぜ。
名文とは不幸を歌い上げたものだからだ。
こういう話がベストセラーになることはマズないだろう。