JIS X 0213:2004


なんか今度マイクロソフトの出すOSが、新しくJIS X 0213:2004に準拠するということで騒ぎになっているらしい。
これはたぶん、日本語の表記の問題と考えてよさそうだ。そこで日本語の表記について。

■送り仮名の揺れ
送り仮名の揺れが、昔から問題視され、統一されたという経緯がある。
ネットで有名なのはこれ。「危い!」少年の乗った自転車がおじさんの頭を踏み潰している立看板に大書されている手書きのコピーである。
「あぶい!」って何?と、言うことになるのだが、これも正しい送り仮名である。
もともと送り仮名という通り、漢文白文に、自分が読みやすいために覚書としてかなを送ったのが送り仮名である。つまり、自分が読めればよいので、表記がまちまちになった。
しかし、それで不便だとは思わない。古い本もよく読むが、そういう本は送り仮名がまちまちで、しかも、同じ文章の中でさえ、送り仮名が統一されていないことも珍しくない。
しかし、それで別に不便はない。
古い表記に慣れると「危ない」は冗長に見えてしまう。
ただ、「のぼる」と「あがる」のような場合、どちらも「上る」でいいのだが
「上がる」と書いてくれたほうが迷わなくてすむというのはある。
○8月28日追加
これ忘れてた。
「危ない」の「危」は「あぶ」と読むわけじゃない。
「危ない」と書いてあるとき「あぶない」と読むことになっているだけ。
「危」は危ないということなんだけども、「あぶない」と読みたいなー。
ええい、じゃぁそういうことにしとけ、そういうときにはわかりやすいように仮名を送っておこう。
今夜は、これで決まりっ!
多分、こんな感じ。

■字体の揺れ
字体もたとえば鬱と欝のようにいろいろある。
たくさんの字体を覚えるのは大変だが、読むだけならさして大変ではない。
どうして初めからもっとたくさんの字体を収録することをしなかったのだろうか。
現状、漢字が少なくてイライラすることも多い。

■読みの揺れ
一番困るのは、町名などである。
「○○町」などの場合、「まるまるまち」、「まるまるちょう」どちらにも読め、その地名を知らないと正確に読むことができない。
これは同じ字に複数の訓があるというのとは違う。同じ分類なのに読み方が違うという問題だ。組と学級とクラスが同じでクラスメートと同級生とが同じで同学年と同級が同じというのと似ている。

■総ルビ
つまり上記の問題は振り仮名をつければすべて解決する。
しかし、現在のディスプレイの解像度では読みにくいだろう。

同音異義語
変換候補にずらずらと候補が出てくることからもわかるとおり、正確にはには同音ではなくて、ひらがなで書くと同じ表記になってしまう語が非常に多い。
これは、表記する文字によって区別しやすい様になっている。
2chでも鬱出汁脳のように漢字の読みだけ取った表記がたくさん見られる。

■日本語の特性
上記のことから、日本語は視覚に頼ることによって進化してきたことばだといえるだろう。
たくさんの外来語を包摂して混乱が少ないのは、英語、フランス語、ドイツ語由来の言葉はカタカナ。そして、インターネット上では、そのまま原語を表記し、漢字、仮名、その語に使用される文字が混在していてもワリと平気。なぜかというと、読まなくても見た目ですぐに各々が区別できるからだ。
そういうわけで、中国語をカタカナ表記されると迷惑なのである。
思想にあわせて理屈を捻じ曲げるのが大好きな連中がこの国にはたくさんいる。
言っておくが、小林よしのりも同じ手合いだ。
声に出して読みたい日本語とか何とか、インチキな本が話題になったが、そういった部分は進化に取り残されてしまい、観賞の対象でしかなくなっている。それだけで日本語がわかるかのように見せかけている点でインチキだ。

■日本語ローマ字化計画
さて、昔から、日本語をローマ字で書き表すようにしようと主張する、頭がどうにかなってしまっても自分は気づかず、回りに迷惑を撒き散らすような人々の一種がいる。
考えるまでもなく、視覚によってその不備を補ってきた日本語を、すべてローマ字で表記したらどうなるか。パソコンを使っていれば嫌でもわかるだろう。読めたもんじゃねー。
まず、目が痛くなるだろう。そして、読む前に見ただけで大体書いている内容に察しがつくような利便性は失われる。
ただ、覚えなければならない文字が多すぎて非効率だということは確かにあった。
しかし、金田一春彦も、ワープロの登場で漢字を減らすべきと言う主張は取り下げたといっている。
つまり、変換ということができるようになって、この問題は、あまり意味がなくなってしまった。読むというか、見るだけなら日本語は見やすくできているからだ。
しかし、ここで面白い逆転現象が起こった。おそらく、キー入力ではローマ字変換を使用している人がほとんどなのではないだろうか?ローマ字表記は非効率だがローマ字入力はみんな使っていて便利である。なんという皮肉!
現状の日本語は
入力はローマ字。
書き文字は漢字と仮名。
表記も漢字と仮名。
で、どこかで思考能力を破壊する変なウイルスにやられたインチキ学者に決めてもらわなくても、ちゃんと一番便利な方法に自然に収まる。